これからの教育の話をしよう

「みらいの学びを創っていく教師」(前編)

前編はこちら

協調学習の実践

 協調学習は文字通り協調的に学習を行う方法です。従来の知識を獲得するための方法に加え,グループワークが増加するため“多様”な意見の中で知識を構築しつつ,スキルの獲得を支援しています。協調的な学習の効果の一つはこの“多様性”に支えられていると言えます。仲間が自身と同じ問題を解いているのに,自分とは違う意見を持っている。自分一人ではたどり着けない解答に人と話をして意見を交わすことで近づいていく過程を経験できる。これは“日常”に近い問題解決の場面だと言えます。協調学習の方法の一つにジグソー法という方法があります。ジグソー法ではグループ内で各自が異なる資料を読み込み,その後それぞれの資料を持ち寄って解けるような問題をグループで話し合いながら解いていきます。そうすることによってお互いが自分の持っていない知識を組み合わせて問題を解いていく必要があります。またそれぞれのグループが同じ問題を解いていても,グループの発表をするとそれぞれ少しずつ違った答えが出てきます。このような活動を通じて多様性を学びつつ,自分たちなりの知識を吟味して理解を深めていくのです。こういった方法の教育を実践することで21世紀に求められているコミュニケーション能力等のスキル獲得を支援していくことが近年多くなされ始めています。またこうした協調的な学習にテクノロジーを活用し情報リテラシー能力等の育成も視野に入れた実践が始まっています。

テクノロジーの活用

 一人一台のコンピュータがこどもたちに用意される時代はすぐ目の前に来ていることは多くの人が予想できると思います。そうした環境において,ただテクノロジーを利用しているだけでなく,こどもが上手に活用できるスキルを育成していく必要があると言えます。ネット上にあふれている情報をうまく集め,上手に利用するスキルはまさに今求められているスキルの一つと言えるでしょう。教師はこのような環境を学習に上手くデザインし,テクノロジーを活用した教育を実践していく必要があります。例えば,授業場面でのノートをネット上で共有することによって自分とは異なる他のこどもの意見を吟味しディスカッションすることや,授業の資料をあらかじめこどもに見える形にしておくことで事前の学習を支援すること,その日の授業の要点をネット上で共有することでこどもたちの振り返りを支援すること等が考えられます。テクノロジーを上手に活用し,こどもの学習のプロセスを蓄積することもできるようになってきています。そこから教師が主観のみに頼って教育を創っていくのではなく,学びのプロセスを客観的に分析し,得られた知見を基に次の学びをデザインすることが求められるようになっています。

 またこうした教育場面の変化によって評価の方法も変化することが予測されます。協調学習ではこどもたちが話し合いをしているので,そこでの話し合いを記録しておくことでこどもたちがどんなプロセスで知識を創っていったのかの過程を見ることができるようになります。これまでの教育ではペーパーテストによって知識が獲得されているかどうかを評価することが多かったのに対し,これからはそれに加え彼らがどんなプロセスで知識を創っていったのかを評価していく必要があると言えます。

おわりに

 はじめに述べたように近年の教育場面では21世紀型スキルの獲得を支援するために協調学習の実践が多くなされています,またそこではテクノロジーをうまく活用することが求められ始めています。つまりそこで教育を実践する教師はこれらの背景を意識し21世紀に使えるスキルの獲得を支援する必要があると言えるでしょう。時代が進めば教育は変化していきます。教師という職業はその変化に対応し,学びを創っていく必要があるのです。

 今でも多くの教育は教師が答えとそこへの道筋を持っていてそれを教授する方法でなされています。もちろんそのような教育は今後も必要な場面があると考えています。しかし,それ“だけ”では適応できないような問題が社会にあふれるようになってきました。みらいの学びを創っていく教師は21世紀型のスキルの獲得を支援すべくその教育の方法についても自らが学んでいく必要がある時代になってきました。教師は素敵なみらいを作っていける職業の一つです。是非素敵なみらいの学びを作ってください。

---
本年度の「これからの教育の話をしよう」は今回で終了します。来年度についてはまた改めてご案内します。